4stジョグ&ビーノ ウォーターポンプ整備
中古購入で最初に行いたい整備の第1話です
この整備を行うことで破損を防げレスポンスも手に入れられる両得な整備です
この作業はレース用整備ですので定期的なメンテナンスであることを理解してください
この4stジョグ&ビーノに搭載される5ST型のエンジンの構造を知らない方には分からないかもしれませんが
初心者にも理解出来る様に説明いたします
4サイクルエンジンにはヘッドというバルブ機構があります
そのバルブを動作させるのはクランクというエンジンのメインになる主軸にあるギアをチェーンで
ヘッド内にあるカムスプロケットという部分と繋がりカムという山の付いたシャフトを動かしバルブを動作させています
5STエンジンのウォーターポンプはヘッドにあるカムスプロケットに繋がり動作しています
このウォーターポンプの動きが渋い&重いとクランク軸の動きの抵抗になりエンジンに対して大幅なパワーロスに繋がります
新品にしては絶対に良くありません!破損してしまったりすると内部にあるメカニカルシールという部分が物凄くキツく
またベアリングの回りも新品はクリアランスが狭く回転がとても重いです
中古の破損前のポンプは宝物です!適度の摩耗し張りが抜けてきたメカニカルシールを再び作るのは物凄く時間が掛かり
月に1~2回程度の走行では数万キロもサーキットで走る事は簡単ではありません
この破損していない中古メカニカルシールは速いエンジンを作る為の大切なモノだと理解できましたか?
同様にベアリングも内部で摩耗が進み回転が軽くなっているモノの方が軽く回ります
破損するとプレスやベアリングプーラーが必要になる!メカニカルシールを抜くには先にベアリングプーラーでベアリングを抜き
その後にプレスでメカニカルシールを外します
ですが破損前ならこんな大掛かりな作業をしないでも部品交換のみでOKで性能も向上します!
それでは整備しましょう!
ジョグならば左側のサイドモールを外すだけで見えてきます
ビーノの場合はシートカウルまで外して長いリアサスを使っている場合はサスを外さないとポンプは外せません
1~3の水の通るホースを外します(冷却水が出てきます)
4はエアクリーナーに繋がるホースでこれも外します
1~3の銅ワッシャー付きのボルト3か所を外します
1と2のボルトは締める場合はネジ山の掛かりが浅いので手締めで止まったところから少しだけしか締められませんので注意です
心配な方は純正より2~3mm長いボルトにすると安心して締められます
外れました~内側にある黒いフタを外す為にボルトを取ります
写真では左下に穴が沢山開いている後期タイプです
前期車両はこの穴がありません
基本的にはベアリングにエンジンオイルが回る為にマイチェンが行われているのですが
実際にそんなにオイルは回りません(笑)
ここの部分からブローバイが排出されるので穴が多い方が排出し易い気もします
でも体感出来てません(笑)
この蓋のシャフトが出てくる穴の部分の塗装が剥げていいる様でしたら新品に変更してください
この蓋の摩耗が回転のブレに影響がありベアリングの破損の原因になります
新品を頼むと後期用の穴あきタイプが出るので何となく気分も良いですね(笑)
ここの黄色の線の付近のラインで黒いフタと本体の合わせ面が綺麗に出ないモノは歪みもあり
交換してあげた方が良いと思いますよ♪
組む場合はこのラインにピッタリ合うように組みましょう
1~4のキャップボルトを外せばいよいよ内部が見えてきます
黒いフタを取ると見えるベアリングこの中にはメチャクチャなくらいにグリスが詰まっています
このグリスが回転のロスになるのでレース用ですので全てパーツクリーナーで洗い流します
反対側の黒いメカニカルシールの中のグリスも全て洗い流します
通常整備としてベルハンマーやエンジンオイルなどを代わりに定期的に塗ります
この作業でメンテ前に比べてエンジンの吹け上りが変わります♪
そして漏れていないポンプを延命させる為にこのインペラーを交換します
左は漏れていない場合のインペラー
右の場合でも漏れてない場合もありますが・・・漏れている時はこれくらいにボロボロです
この軸の破損部分がシールを攻撃して漏れてしまいます
ベアリングまで破損するのは消耗もありますが先ほどの黒いフタやインペラー腐食なども原因です
特にFP4-50クラス車両でこの作業を行わずに1万回転オーバーで走らせるのは宝物を自分でゴミにしているようなものです(笑)
これで軽く回るウォーターポンプになり破損も防げます
そして忘れずに定期的なグリスアップを心がけてください
今回の交換部品
⑨プレート 5ST-E1951-00(前期廃盤)→10B-E1951-00(対策品後期)
②インペラーシャフトアッセンブリー 5ST-E2450-00
⑤ガスケット、ハウジングカバー2 5ST-E2428-01
①②ガスケット 5ST-E2435-10
ガスケットにエンジンオイルを塗っておくと次回切れずに剥がせます