ScooterRace.jp/アドバンスプロ ZETAリアショック コラボ企画④

 単純なレート変更では無理が生じたバネの奥深さ 

やはりサスペンションの性格はほぼバネに支配されていると言っても過言ではないと再認識

性能という面で言えばダンパー面であってフィーリングはほぼバネに依存している

こういう動きにしたいと思えばバネに集中してしまうのである

いくら高価なリアショックを買ってもセットアップして調整位置がバネ特性の本来の設計から外れてしまっていたら性能は活かしきれない

そして中心になるバネに追従するダンパーがそのバネの動きに対応していなければ車体に対して求められるものでは無くなってしまう

 

それくらいにバネを中心としたセットアップの重要性を理化してもらいたい

 

 前回のレート強化のみから基本設計の大幅な見直し 
オリジナルスプリング①-3 SWO SC-V(シリコンバナジウム鋼)
6.5x56x143x4.9x6.9 右 L1=95mm~96.0kgf 定数2.07kgf/mm

これが1作目のオリジナルスプリングのデータシート

アドバンスプロの標準スプリングはコンプライアンスにより公表は出来ませんが

標準スプリングを基準として性格は同じままレートのみをスライドさせたのがこの寸法です

そうすると体重が55kg程度のライダーでも物凄くイニシャルを掛ける必要性になりました

この設計だと【初期のたわみ】が弱すぎて最初から強い部分を使って走らせる必要があります

このたわみという部分をイニシャルで殺してしまうと全域で硬いだけの性格のサスになってしまい

奥で粘るような設定にはならず非力なバイクならアクセルオンで曲げる事も出来ません

良く動き 奥で粘り そして蹴ってくれる

そんな動きを目指すには単純にレートだけ合わせても理想にはならない結末が1作目

この時に集めて感じた実際の動きを頭に入れて理想を求めて次のバネを考えました

 

 レート合わせではなく性格を設計に取り込む 

1作目で起こった現象を基に段階荷重を細かく取り走行使用位置の荷重を考えて寸法を決める

乗車1Gと走行1Gを予測して初期のたわみ部分を設定してライダーの初期入力を考慮してみた

初期のたわみを変更するにはレートの概念だけでなく線径の選択が重要になる

同じ線径で初期たわみを設定するには限界があり、ここが単純なレート設定では不可能な領域である

レートの変更は単純に巻きピッチだけで作る事が出来るのだがそこにはたわみの概念は含まれない

バネの荷重をグラフにすると曲線を描くので一定の使用位置で急激に荷重が変化する事に由来する

その荷重変化の位置を考慮することで奥で止めたり粘らせたりと性格をいじる事が可能なのです

 

動きの早さは追従性としてプリロードを掛けた時の最大使用位置の調整幅の範囲を使用限界の位置の幅の内で設定する

これがプリロードを掛けた時の限界内で使う理屈でありバネ変更が必要になる理由でもある

その様な理由により良いサスペンションを求めたらバネは自分専用が必要になる決定的な理由だ

 

 これが私達が求めて辿り着いたスプリングの基準点 
オリジナルスプリング②-2  SWO SC-V(シリコンバナジウム鋼)
7.0x56.5x143.0x5.4x7.4 右 L1=95mm118.3kgf  定数2.46kgf/mm

前回のスプリングと違い同じ自由長でありながらプリロードの掛け方の違いが分かっただろうか?

これは50kg後半のライダーでの使用で掛けた量は5mm前後である

プリロードをあまり掛けない事で初期の沈み込みのレスポンスを犠牲にせずに

奥でしっかりと止めて狙った荷重レートの範囲で粘る走りを実現出来ました

70kg台のライダーでも比較的柔らかい方を選ぶライダーならこの数値でも十分に対応出来る寸法であった

その場合のプリロードも10mm程度までの調整で収まる範囲でした

リア車高が高い状態を維持する方向のセットアップであれば0.1kgfのレートアップでバネを作るのも良いかと思います

一般的なライダーであればこの数値で幅の広いライダーで走れると思います

 

 スプリングレートを高めると追いつかないと思っていた減衰でしたが 

線径の太いバネで作り直した事によりバネの動きの速度が高まったのか?

ダンパーの動きが早くなると同じ仕様でも減衰は強く掛かるようになった

これは注射器の様なモノをゆっくり引くのと早く引くのでは抵抗が変わるという特性によるもの

これは減衰力特性というもので図の様に変化が起きるのだ

比較的ZETAのダンパーは高圧のガスが入っているので停止時で押してみるとイマイチ減衰が掛かりが弱いのだが

しかし走行すると跳ねてしまうくらいまで減衰のダイヤルを強める事が出来る

ここはサスペンションの事を良く知らないので正直想定をしていなかった部分で勉強になりました

そしてZETAは別体タンクが無いモデルの中でもダンパー本体の容量も多いので熱ダレにも強い

減衰の調整も現在流通する減衰調整ダイヤルのあるモデルの大半は全閉めから1~2段戻しという調整範囲が無いに等しいモノが多いが

今回のコラボショックは6~7段も上に対して調整幅がある為に使用するバネの選択肢も広い

本当の意味で減衰調整ダイアルが装着されている事になります

 

 今回の別注のSPLショックはアドバンスプロさんで購入可能です 

納期は注文から2週間ほどで受注生産のみです

サイズは260mmと270mmの2種類

フロントタイヤが3.00であれば260mm 3.50ならば270mmがオススメです

90サイズでしたらどちらを選んでも良いかと思います

アドバンスプロさんのお問合せフォームへ【ScooterRace jp仕様ダンパー】で2種類の長さのどちらかを選択してオーダーしてください

カラーは1色のみでどちらのサイズも 18000円(税抜き)

一応スプリングは装着されて来ますがスポーツ走行には不向きですので

上記のレートを基準にお近くのスプリング製造工場でオーダーをする事になるのを御理解ください。

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